2009年08月25日

人生の先輩、92歳と話す。

 日曜日に独り暮らしの92歳のおばあちゃんのお宅に行った。2年前胃ガンの手術をされた方だ。子供の頃から、夏には弱いらしく、「近頃、食欲が無くなっているようだ」との話を聞いたので、残暑見舞いがてら伺った。

 「おかあちゃん、体調悪いと聞いたけど、どないですか?」
 「うん、夏は苦手なんで、デイサービスも遠慮させて貰っている」
「どうして?」
 「一日中、車いすに座ってじっとしてると足がむくむからね、家でいろいろ動いているほうがラクなん」
 「そうですか〜。でも顔色も良いし、涼しくなったので、少しは体もラクになりましたか?」
 「うん。でも歳だからね。毎日、体調は変わるし、その日の調子に併せて自分なりに過ごしてるよ」
 「それを聞いて安心したわ。」
 「それより、今度の選挙。今の様子が、ちょうど石炭産業が斜陽になって、一気にダメになった頃と似ているんじゃ。」

 「どういうことですか?」
 「あの頃、国の政策が石炭から石油に変わろうとしていて、それが炭坑会社の経営にも響き始めた。すると労働組合が、“賃上げや雇用を守れ”と言い出した。私らも生活かかっとるから当然の話だと思っていた。でも、それをある政党が組合の人間らを煽って、強引に要求を押し通した。要求は通った。でも、それで社員が助かったというとそうじゃなかった・・」

 「何で、ですのん?」
 「無理な言い分を押し通した結果、どんどん会社は傾きはじめ、倒産した。私ら一家も急に仕事も住むところも無くなってしまい、路頭に迷った。運動を煽った政治家に何とかしてくれと頼もうとしたら、選挙が終わると知らん顔され突き放された。私達は見捨てられたんだ!」

 「それが今の社会的な状況と似ている?」
 「おんなじ。みんなの不満ばかり出ているところへ、旨い話ばかりする政党・政治家が出てきた。話の内容も現実離れしている。今が大変な状況なのに、それが選挙でいっぺんに変わるなんて言葉は信じられん。そんなに上手くいくのなら、あの時も会社が倒産することはなかったし、私らが苦労する事もなかったはず。」

 「今の状況のままじゃ、また同じ結果に進む?」
 「そう。とても恐い・・・。あんたら若い人たちは知らん事だろうけれど、そんな事があったんよ。」

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Posted by ひげかん at 04:10│Comments(0)せいじ
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